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お客様導入事例

音声ガイドのAI化で
コスト削減+新たな
顧客体験を提供!

導入ソリューション:
デジタルガイドデッキ ARGS

お客様導入インタビュー

東京富士美術館様

八王子の郊外、小高い丘の上にある東京富士美術館は、都会の喧騒から離れてゆったりとした時間が流れる中で芸術作品に触れることができる素敵な空間でした。常設展に加え様々な特別展で、「アートを身近にする平和と美の発信地」であり、「あらゆる人に開かれた美術館」として多くの人を迎え入れている、そんな場所です。そのような美術館でデジタルガイドデッキARGS(以下、ARGSと呼ぶ)が活用されており、お話しを伺うことができました。

面談者:東京富士美術館 総務部 総務課 ご担当者様

ARGSをお使いいただく前に、抱えられていた課題や問題はなんでしょうか?
2つの課題を当館は抱えていました。1つはコスト、もう1つは来館者の使いやすさです。
コストは、これまでは音声ガイド作成のために、スタジオを借りて録音を行い、システムを導入するために大きなコストがかかっていました。特別展が変わるたびに音声ガイドをその都度作成しており、年間で非常に大きなコストとなっていました。
また、来館者の使いやすさは、来館者の年齢層に合わせた音声ガイドの提供が課題でした。当館の来館者層の多くは50代~60代です。難しい仕組みだと、近くにいるスタッフに音声ガイドの使い方を尋ねることが多くなります。その結果、スタッフが音声ガイドの使い方の説明に時間を取られてしまい、本来の監視業務に支障が出るといった問題がありました。
来館者からは、使い勝手について具体的にどのような質問がありましたか?
アプリのインストール方法がわからない方が多くいました。これまで使っていたサービスでは、まずアプリをインストールし、そのアプリ内から当館の情報を探す必要がありました。実際に音声ガイドを聞く前に2段階、3段階の準備が必要で、アプリのダウンロードやインストールの途中でわからなくなってしまい、その問合せでスタッフの時間を取られることが多くありました。
ARGSを導入してから、問い合わせは減りましたか?
ほとんどゼロに近い状態になりました。今はQRコードを読み取るだけで音声ガイドを利用できるため、以前のようにガイドを聞くまでの複雑な準備は必要がなくなり、とても使いやすくなりました。
ARGSの導入後の変化や効果を教えてください。
はい、大きくは4つ。コストの大幅な減少、業務の効率化、使いやすさの向上、思わぬところへの展開です。
コストは、課題の一つでもありましたとおり、これまでの音声ガイドにかかっていた費用が大幅に減少することができました。
業務の効率化は、音声データを作るための業務負荷の削減です。音声データの作成にはスタジオで音声を録音する必要があり、担当者が1人付き添っておりました。録音のためにスタジオに出向く手間がなくなり、その分大幅に業務の効率化になっています。
来館者の使いやすさは、QRコードを読み取るだけで使えるので、これまでのものよりも来館者にとってアクセスしやすく操作も簡単で、どなたでも使いやすいものであると感じています。

最後に思わぬところへの展開ですが、これは私たちが予期していた効果ではありません。来館者の方々のアクションによるものです。ARGSではURLが生成され、それをQRコードにして展開していますが、来館して利用した方が読み取ったそのURLを、そのままSNSを通じて展開していることが最近わかりました。当館では、美術館の外での音声ガイド利用に制限は設けておらず、会期中はいつでも聞けるようにしています。そのため、来館者がURLをLINEグループで展開したり、Twitter(現X)に投稿することで、日本国内に限らず海外からもガイドを聞いていただいているという統計が取れています。
ARGSを選定した理由があれば、お聞かせください。
はい、これは3つあります。AIが音声を作成して読んでくれること、コスト、多言語に対応しているところです。
特に3つ目の多言語に対応しているところは大きな利点と感じました。当館は海外からのお客様が多く、また近隣学校に様々な国からの留学生がいて、その留学生が母国のご家族や友人と一緒にご来館されることも多いです。そのため、多言語に対応していることは大きな利点で、ARGSを選ぶ決め手と言っていいと思います。
ご利用時に工夫されていることがあれば、ぜひ教えてください。
これは2つあります。1つが展示室のすぐ目の前にQRコードを掲示してご案内すること、もう1つが会期中は公開設定にしておくことです。
QRコードは、今までは館内の様々な場所に掲示していました。するとやり方がわからないお客様は掲示している場所まで展示室のスタッフを呼びに来て、説明のためにスタッフが持ち場を離れることで混雑が発生してしまうケースがありました。もし説明が必要な場合も近くで対応できるよう展示室の手前でQRコードを掲示するようにしました。これにより、来館者が展示室に入る前に必ず目にするため、アクセス数のアップを狙っています。

もう1つが会期中ずっと聞けるようにすることです。来館者がSNSを通じて情報をシェアしていることがわかってきたため、会期中はURLを知っている方であればどなたでも音声ガイドを聞けるようにしています。何らかの理由で美術館に来ることができない潜在的来館者が音声ガイドを聞くことで、アートに触れる機会を提供し、実際に美術館に行きたいという気持ちに繋がることを期待しています。また、アートにあまり触れたことがない、または、興味がない人々にも、音声ガイドを通じてアートに触れるきっかけになれば、と考えています。
ARGSを他の方に勧めるとしたら、特にどの部分でしょうか?
はい、3つあります。運用する側が素人でも使いやすい仕様であること、AIが音声を作成してくれること、そして利用者が使いやすい仕様になっていることです。
システムエンジニアのような職種の人が社内にいなくても、担当スタッフが設定や運用ができるところはとても良いと思っています。当館にはシステムに詳しい人が少なく、誰でも簡単に運用できるシステムの導入はメリットです。
AIが音声を作成してくれる、これは音声録音にかかる費用や時間を大幅に削減できる点においても、非常に魅力的でありがたいと感じています。
最後に利用者が使いやすい仕様。音声ガイドの利用者が表示方法や音声速度を変えられる機能があり、多くの来館者が利用しています。特に若い世代はタイパ志向、短い時間で効率よく進めたいという傾向があるので、音声速度の変更や表示方法を選べる機能は非常に好評です。
最後に何かありましたら、コメントをお願いします。
近年、ミュージアム業界ではアクセシビリティの向上に力を入れています。国籍や性別、身体の機能、認知の特性にかかわらず、誰もが美術館を利用できるよう配慮された取り組みのことです。図らずも来館者がSNSを通じて音声ガイドを展開したことで、まずは、身体の機能などを理由に美術館に来ることができない方々にもこのガイドを利用いただけるようになり、ミュージアムのアクセシビリティ向上に繋がったと感じています。

(取材日:2025年1月28日)

導入風景SCENE

  • 展示室前のディスプレイで音声ガイドをお知らせ

    展示室前のディスプレイで音声ガイドをお知らせ

  • デジタルガイドデッキ ARGSでの  音声ガイド表示

    デジタルガイドデッキ ARGSでの 音声ガイド表示