

箱根の美術館で出会った、記憶に残る音声ガイド。それが、観光DXに挑む新規事業「ARGS(アーグス)」の原点でした。専用アプリ不要で誰もがガイドを作成・配布できるこのサービスが目指す未来とは…?
開発のきっかけは、箱根の美術館で体験した音声ガイドです。鑑賞体験が変わる面白さに感動したものの、コロナ禍で使用停止に。「誰もが持つスマートフォンで思いを込めた音声ガイドを作れるサービスを」と考えたのが始まりです。この構想をもとに、2022年10月からプロジェクトの企画を開始。ヒアリングを進めると、観光業界には「インバウンド対応ができない」「Webサイトを見てもらえない」「紙では正確なデータが取れない」という共通の悩みがあることがわかりました。これらを解決するために開発したのが、専用アプリ不要のWebサービス「ARGS」です。提供する主なソリューションは、インバウンド対応(13か国語対応)、旅ナカ ※1の演出、DX推進(データ分析)の3つ。「ガイドメーカー(作成側)」と「ガイドビューワー(閲覧側)」がセットで、「作成・編集・配布・分析」のサイクルを回し新たな価値発見につなげています。
※1…旅をしている最中の期間を示す言葉
この事業は社内のイントレプレナー(社内起業家)制度の第1号として企画されました。2023年4~5月頃は、例え営業活動で「いいね」と言われても「お金を払ってまで使いたい」というお客様は見つからず、一番苦しく感じた時期でした。当初のターゲットであった美術館や博物館からも良い反応は得られず、「ARGSの事業継続は難しいかもしれない」とさえ思いました。
転機となったのは、「美術館や博物館も『観光』という大きな枠組みの一箇所に過ぎない」という視点の変化。観光業界全体に美術館向けと全く同じ資料で提案したところ、「これが欲しかった」というお客様が現れたのです。観光業界からの好反応で、リコーの顧客開発モデルにおける「PSF(課題と解決策の一致)」を確認。本格的な開発フェーズに進み始めることができました。
1つ目は「専用アプリ不要」という手軽さ。事業者の方々は低コストで簡単に情報発信でき、観光客の方も2次元バーコードから手軽にアクセスできます。
2つ目はスピード感です。その価値を気づかせてくれたのは、ある顧問の方の「インスタでバズったらそこはもう観光地だ」という言葉でした。ARGSなら既存の観光地だけでなく、SNSで一躍話題となった「昨日今日生まれたもの」であっても即座に発信できる。この「今」を捉えるスピード感こそが、ARGSの大きな強みです。
テスト販売でのリピート率は100%と大変喜ばしい反響でした。お客様とベンチャーキャピタルなどから「情報インフラ」「防災ガイド」といった私たちの想像を超える新アイデアをいただけたのも興味深く感じる点です。また、観光業向けに視点を広げたものの、実は最初にご契約くださったのは、鹿児島市立美術館でした。以来、3年連続で企画展に採用いただいています。
さらに感慨深いのは、2025年の企画展『藤田嗣治(ふじたつぐはる)7つの情熱』との巡り合わせです。ARGS開発の原点は、かつて箱根の美術館で体験した藤田嗣治の作品『誕生会』の音声ガイドでした。事業のきっかけとなった画家の展覧会で、自ら生み出したARGSが使われる。不思議な縁と、3年越しに想いが結実した喜びを感じています。販売開始から約1年、まずはこのARGSを世の中にしっかりと浸透させていくことが今の目標です。
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