

リコーグループのIT戦略を長年支えてきたリコーITソリューションズ。
今、私たちはその立ち位置を大きく変えようとしています。目指すのは、グループ内の開発機能に留まらない、市場における自立したDXパートナーとしての姿です。技術を単なる機能ではなく、ビジネスを成功させる武器へと昇華させるためには何が必要なのか。10億円規模の投資が生んだ成功と失敗の実体験を通じ、ビジネスとしてのDXを実現するための本質的な思考と、これからの技術戦略についてCTOの印田悦久が明らかにします。
「会社の中から好きなエンジニアを10人選んでいい。大型投資を認めるので、100億円のビジネスを作りなさい」
——2014年、当時の社長からかけられた言葉をきっかけに、私たちにとって大きな挑戦が始まりました。
それが、企業の情報活用を包括的に支援する「EIM(エンタープライズ・インフォメーション・マネジメント)」事業の立ち上げです。私たちは長年、リコーグループ向けの製品開発や社内システムの構築・運用を担ってきました。一方で、「自分たちで企画開発し、自社ブランドとして外販する」という経験はほとんどありませんでした。そのため、クラウド基盤からその上で動くアプリケーション(SaaS)までをすべて自前で構築するというこの試みは、これまでにない挑戦となったのです。
エンジニアを結集して開発した「RICOH Contract Workflow Service(現:リコー 法務支援クラウドサービス)」は、結果として大手企業を中心に累計100社以上に導入いただくことができました。しかし、そこに至る道は決して平坦なものではありませんでした。どんなに高機能なものを作ってもそれだけでは売れず、発売から最初の1本が売れるまでにかかった期間は実に半年以上。私たちはそこで、「技術力」と「ビジネス(販売・マーケティング)」の歯車が噛み合って初めて、顧客への価値提供が成立することを痛感したのです。
この経験は今、私たちの大きな財産となっています。「作って終わり」の技術者集団ではなく、顧客のビジネス課題を解決し、利益を生み出すパートナーへ。その自信の裏付けは、この試行錯誤の歴史にあります。
2030年に向けて私たちが掲げるのは、「お客様と共に未来を創造する企業」というビジョンです。その実現のために重視しているのが、グループ内での開発経験と、外部市場でのビジネスを相互に高め合う「知見の好循環」です。
私たちには、リコーというグローバルメーカーの厳しい品質基準に応えてきた実績があります。この「グループで磨かれた確かな技術・ノウハウ」を市場のお客様へ提供する一方で、変化の激しい市場で得られる最新のニーズやスピード感を、グ
ループ内へ還元することができます。
この循環を回すことで、私たちは単なる開発ベンダーでも、理論偏重なコンサルタントでもありません。お客様と共に価値を創造する独自のポジションを築けると考えています。例えば、業務効率化プラットフォームの「ServiceNow」や、デジタルプロセスオートメーションの「Axon Ivy」といった商材においても、単にツールを導入するだけでなく、私たちがメーカーとして培った知見を掛け合わせることで、お客様の実情に即した解決策を提示できるのです。
市場のお客様のビジネスを変革するために、現在、特に投資を強化している技術領域が3つあります。
1. 開発プロセスの革新(生産性向上)
お客様への提供スピードを劇的に上げるため、「AIによる開発支援」を全面的に取り入れています。コードを書く作業だけでなく、システムのテストやリリース工程(CI/CD:テストや配信の自動化)に至るまでAIを活用し、短期間で高品質なソフトウェアを提供する体制を整えています。
2. 成功パターンの「資産化」(既存技術のアセット化)
クラウド構築やセキュリティ対策など、私たちが得意とする技術を、毎回ゼロから作るのではなく、すぐに使える「ノウハウ」として体系化しています。これにより、お客様は実績のある安全なシステムを、コストを抑えてスピーディーに導入することが可能になります。
3. 生成AIと「自律型エージェント」への挑戦
今、最も注力しているのが、人の指示を待たずにAI自らが考え、タスクを実行する「自律型エージェント」の領域です。これは将来、お客様の業務効率への考え方を根本から変える可能性を秘めています。私たちは常に技術の最先端に身を置き、その検証結果をお客様へ還元していきます。
CTOこれからの時代、技術者に求められるスキルも変わります。プログラミングは、あくまで課題を解決するための「手段」に過ぎません。その手段を使って、顧客のどんな課題を解決するのかを構造的に捉える「課題解決力」が不可欠だと言えます。そのため、人材育成においても当社では「オープンマインド」をキーワードに掲げており、 技術や成功事例を積極的に社外へ公開し、フィードバックを得ることを推奨しています。すでに一部の地方拠点では、自治体と連携してAI勉強会を開催したり、地元企業へセキュリティ指導を行ったりと、地域社会の課題解決にも乗り出しているところです。
技術の進化が加速する今だからこそ、「何を作るか」だけでなく「どうビジネスに貢献し、どう社会に責任を持つか」が問われています。 確かな「技術力」、本質的な「課題解決力」、そして「倫理観」。この3つを兼ね備えたエンジニアこそが、これからのDXを成功に導く鍵になると私たちは確信しています。リコーITソリューションズは、その先頭に立ち、お客様と共に新しい価値を創造し続けます。
「RICOH IT SOLUTIONS WEB MAGAZINE」は
現場で生まれる挑戦や創造のストーリーを通じて
ITがもたらす新たな価値の流れをわかりやすくお届けする
リコーITソリューションズのWebマガジンです
お問い合わせ:リンク
発行:リコーITソリューションズ株式会社
マーケティング本部 デジタルマーケティングセンター
マーケティング推進室 コーポレートコミュニケーショングループ