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リコーITソリューションズ株式会社

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RICOH IT SOLUTIONS WEB MAGAZINE

産学連携で生まれたキイチゴ受発注システム 秋田事業所のIT活用による地域課題の解決

RITS秋田事業所が進める、地域に根ざした地場ビジネスへの挑戦。秋田県立大学との産学連携から生まれたキイチゴ受発注システムの開発には、最新技術を用いた試行錯誤、そして地域課題解決に向けた熱意がありました。

TRUST

信頼関係の構築

始まりは2022年、RITS秋田事業所が地場ビジネスの拡大を活動指針に掲げた折、秋田県庁の専門委員から秋田県立大学の森田純恵教授を紹介されたことでした。当初は、同大学が5年計画で進めていた「交付金研究プロジェクト」に参画し、その中のテーマⅦ(秋田版農業情報基盤の構築)である「スマートフードチェーン」の研究に取り組むことになりました。RITSからはエキスパート2名に加え、若手社員5名がプロジェクトに加わり、技術的な実装や成果物の仕上げを伴走する形で構築のサポートに携わりました。同時に、秋田県庁後援で企画した複数企業も参加するPBL(課題解決型学習)ワークショップにも深く関わりました。RITSの若手社員たちが学生グループのリーダーとして、あるいは社会人の先輩としてチームに入り、アイデア出しから開発まで学生たちと一丸となって取り組みました。2024年度には、秋田県立大学のプログラムが国内2例目となる高度な実践的課題解決プログラムへと発展。事業創造グループのメンバーも協力し、観光商材を扱うソリューション開発に挑みました。

私たちは研究範囲のみに留まらず、広範囲にわたって学生たちへの技術指導や助言を親身になって継続。学生たちと共に歩んだ数年間は、私たちにとっても非常に良い経験となりました。そしてこの積み重ねが、「単なる外注ベンダー」ではなく「共に課題を解決するパートナー」としての信頼に繋がり、現在の地場ビジネス獲得に向けた強固な土台となっているのです。

秋田事業所の様子

SOLUTIONS

地域課題の解決

これまでの活動を通じた信頼構築により、2025年度には4つのプロジェクトが受注に繋がりました。秋田版農業情報基盤の構築や、自動収穫ロボットの第三者評価など多岐にわたる分野で、私たちの技術力によって地域の課題解決に貢献することができたのです。特に、五城目町の特産品であるキイチゴの流通DXを支えるのが「キイチゴ受発注システム」。これは普段共同研究をしている工学部だけでなく、農学部の先生との縁からスタートした学部の垣根を越えた連携であり、地域の方々と直接向き合う重要な事例となりました。

プロジェクトのきっかけは、大学側が5年越しで取り組んでいた秋田版スマート農業モデル創出事業が最終年度を迎えながらも、市販のアプリを導入する計画であったがそのアプリがリリースされずシステムの構築が難航していたこと。実証実験が目前に迫る中、これまでの活動を通じて築いた信頼関係から「RITSならこの状況を打開してくれるはず」と、学部を越えたご紹介という形でご相談をいただいたのです。私たちは雨の降る中、五城目町の栽培現場を訪問しました。栽培現場脇の狭いプレハブ小屋で農家や販売会の方々と膝を突き合わせて話し合い、現場の切実な姿を目の当たりにしたのです。

「電話で注文を受けながら急いでメモに書き留めるため、後で自分の字が読めない」。
「手書きで書いた注文のメモをなくしてしまったことがある」。
「出荷中や家事の最中の電話に対応できず、お客様にご迷惑をかけてしまった」。

事前に課題の予測は立てていましたが、実際にお話を伺うと思いもよらない発見が多くありました。現場へ赴き直接声を聞くことの大切さを改めて学び、その気づきを設計に反映させたのです。現場にDXを定着させるため、最優先に掲げたのは「利用者が無理なく使えること」でした。

CHALLENGE

AIを活用した
超短納期開発

開発期間は約1か月半という、極めて短いものでした。この厳しいスケジュールを乗り切るため、私たちはGitHub Copilotなどの生成AIを開発プロセスへ本格的に導入。しかし最初にAIで生成したプロトタイプは、私たちが思い描くイメージとは細部でズレが生じていました。このままでは現場とのすり合わせに膨大な時間を要すると感じ、AIをそのまま使うのではなく、各工程でAIを叩き台として活用する手法をとりました。慣れないながらも自らの手で試行錯誤しつつAIを活用したこの経験は、開発のスピードと品質の両立を実現しただけでなく、私たち自身の大きな成長にも繋がりました。そうして2026年1月初旬、ついに「五城目町キイチゴ受発注システム」を完成させたのです。

完成したシステムの操作画面には、ご高齢の農家の方々も使いやすいよう、日常的に使い慣れているLINEアプリを採用しています。2026年1月中旬に行われた説明会では、高齢の農家さんが自力で操作を完遂される姿に確かな手応えを得ました。

一方で、アカウント作成時にパスワードを何にしようかと長時間悩まれる方もいらっしゃいました。提供したシステム自体の操作だけでなく、こうしたITの基礎的な壁でつまずいている方々にまでサポートの手を広げてこそDXが定着するのだと、現場で改めて実感したのです。

実証実験後には「いつ電話が鳴るか気にせず、自分のペースで作業できるようになった」「販売会社に何度も在庫確認の電話をしていたが、このシステムによって在庫状況がすぐにわかるようになった」などの声をいただきました。開発者として、利用者の方々の喜びを直接伺えたことは、私たちにとって大きなやりがいに繋がっています。最上流のヒアリングから実装、さらには現場での運用定着に向けた伴走支援まで一気通貫で携わったこのプロセスは、普段の開発業務では得がたい多角的な学びの機会となりました。

VISION

地場ビジネスの
拡大に向けて

私たちは、「地場で実績を作る」という目標を掲げ、地域の課題解決とビジネスの両立を目指しています。地方のビジネスは首都圏に比べて規模は小さいかもしれませんが、地域で存在感を発揮しやすく、密着した発信ができるという独自の強みを秘めています。

今回の産学連携で得た知見を糧に、「秋田にはRITSという頼れる企業があるんだ」と地域の方々に思っていただけるような事業所を目指していきます。事業所一丸となって地域貢献を実感し、その喜びを私たちのさらなる成長へ繋げていく。それが、私たちの描く未来像です。

2022年の出会いから積み重ねてきた秋田県立大学との地道な関係構築は、地場ビジネス獲得という確かな成果に結びつきました。上流工程のヒアリングから現場の声を拾い上げ、実装、そして定着のサポートまで一貫して責任を持つ。その姿勢こそが、RITSが目指す外販ビジネスの理想的な姿を体現しているのです。

デジタルサービス&プロダクツ事業本部
B2Bプロダクト事業センター 第1開発部
石川 達也

デジタルサービス&プロダクツ事業本部
デジタルサービス事業第1センター
センター長
柿田 幸子


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